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子どもたちへ 本を届けよう

西日本から 子どもたちへ本を届けよう ネットワーク

読書会のご案内

研究室で、大体月に一回程度、読書会をひらいています。
次回の読書会のお知らせ。

『世界のはての少年』
ジェラルディン・マコックラン作 杉田七重訳
東京創元社 2019



実際に起こった出来事を元にした作品だそうです。
いわゆる無人島もの、サバイバルもの。
カーネギー賞受賞。

なんとなく前回からの流れで読んでみたいとの声。
YAが続いています。
楽しみ。

前回『目覚めの森の美女』は、とても面白かったという感想と、読みにくかったという感想がありました。
昔話的、中世的世界観、古風で、植物のつるがのび広がりからみつくような文体、肝心なところを見せず語らず、どうなったかが分からないまま終わる短編連作、というところが、読者を選ぶでしょうか。

また、昔話の世界や価値観をそのまま踏襲しているような装いでありながら、本来の昔話をかなりひねってあります。
そのひねり具合が非常に巧妙で、元の話をかなりしっかり知っていないと、ひねりの面白さが分かりにくいかもしれません。

ディズニー映画などで知っているというだけだと、この作品は手ごわくて、期待していたものと違う、ということになりそうです。

耽美な世界、ぞっとするような美しさとこわさ、そして現代的なひねり。
すいすい読めないので、この世界にひたり、言葉のつらなりを味わいながら読んでみてください。

短編集ですが、各部の見出し、全体の構成など、一つのまとまりとして、トータルにデザインされています。
日本語版は「目覚めの森の美女」を全体のタイトルにもってきていてこれは秀逸。
挿画、装丁もよく、作者の意図を汲んで、全体に配慮が行き届いた翻訳出版だと感じました。




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読書会のご案内

大阪樟蔭女子大学児童教育学科神村研究室では、月に一回程度、子どもの本や絵本の読書会をひらいています。
これまでに様々な本を読みました。
「読書会まとめ」のカテゴリに少しずつこれまでの読書会のことを書いています。

今年、最初の読書会は2月に行います。
「ボグ・チャイルド」、「ウィッシュ・リスト」と、アイルランドの作家のYAを読みました。
その流れで、次はこの本を取り上げたいと思います。



『目覚めの森の美女 森と水の14の物語 』
ディアドラ・サリヴァン、田中 亜希子訳(東京創元社、2019)

よく知られた昔話を現代的に解釈した物語集。
アイルランドで、いくつかの賞を受賞した注目の作品です。

昔話の再話系といえば、ドナ・ジョー・ナポリの作品などが想起されます。
読み比べてみるのも一興。

下敷きにされている物語があると、その解釈について、好みも分かれるし、いろいろな意見も言いやすいので、読書会には好都合です。
どんな話題が広がるか楽しみです。

ところで、この読書会、昨年10年目となり、今年の4月で10周年を迎えることとなりました。
そんなわけで、これまでの歩みをふりかえり、何かみんなの記念になることができればいいなと考えています。

それでは、今年もよろしくお願いいたします。


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読書会⑦2016年

研究室で開催している読書会が、気づいてみたら、思いのほか長く続いていました。
そこで、2016年の1月から、少しずつ、まとめ記事を書き始めました。
だんだん現在に近づいてきて、あと少しです。毎年、その都度、書いておけばよかったのになぁ……と反省しつつ。

2016年 (平成28年) 7年目

5月
●R.J.パラシオ作『ワンダー』(ほるぷ出版、2015)
 →関連記事「ワンダー(Wonder)」を読んで聴いて。」

6月
●サリー・ガードナー作『火打ち箱』(東京創元社、2015)

7月 休会
8月
●サリー・ガードナー作『火打ち箱』(東京創元社、2015)
●アンデルセン「火打ち箱」

9月 休会
10月
●バージニア・リー・バートンの絵本 ~ 知っているつもりの古典絵本~

11月 休会
12月
●額賀澪(ぬかが みお)
『屋上のウインドノーツ』(2015年6月、文藝春秋)(第22回松本清張賞「ウインドノーツ」改題)
『ヒトリコ』 (2015年6月、小学館)第16回小学館文庫小説賞

1月 新年会
2月
●森絵都『クラスメイツ』(偕成社、2014)




関屋キャンパスからの通算7年目、小阪キャンパスに移転、再開して二年目。

この年は、鉄板の古典、バージニア・リー・バートンの絵本をはさんで、比較的新しく、生きのよいYAが並びました。
参加者の意識や好み、仕事上のアップデートの必要が反映されています。

また、YAの翻訳出版の活性化、子どもに読みやすく、新しい本への要求、期待の高まりが、背景にあります。

古めかしい本にはなかなか子どもの手がのびないということが以前よりも認知されてきました。
学校司書も増えてきて、今、目の前にいる子ども、そしてこれからの多様化する社会を生きていく子どもに、どんな本をすすめればいいのかが問われていることを感じます。

特に、非常に話題を呼んでいた『ワンダー』、そして、デビューしたばかりで受賞ラッシュだった額賀澪と、久々にYAに戻ってきた森絵都の読み比べは、とても新鮮で刺激の多い読書となりました。

『ワンダー』は、先天性の染色体異常により、顔に顕著な骨形成不全などがあらわれるトリーチャー・コリンズ症候群の少年オーガストが主人公です。
身体障碍者は、子どもの本にも比較的よく取り上げられますし、心理面の問題を抱える主人公もYAには珍しくありません。
また、精神障碍者が、社会の様々な場面で不可視化されていることは、以前から各方面で指摘されています。
自分を醜いと思い込んでしまう心理的な問題、あるいは、傷や痣などの見た目をケアするカバーメイク、ケアメイクの存在などは知っていましたし、それなりに関心を寄せていました。
しかし、私自身の不明を恥じなければなりませんが、この作品に出会うまで、トリーチャー・コリンズ症候群のような人を身近には知らず、これまで考慮してみたこともまったくありませんでした。

この作品は、いくつかのパートに分かれていて、そのパートごとに視点人物が移り変わっていきます。
その構成によって、センシティブな内容を取り扱いながら、突き放しすぎず、寄り添いすぎず、登場人物を誰一人としておろそかにしないで語ることに成功しています。
主人公のオーガストはもちろん、その家族、まわりの子どもたち、さらにそれをとりまく先生や親、といった登場人物について、心の機微、ささやかな行動の積み重ね、それらが波及して起こる反応や行動、出来事の連鎖が丁寧に描かれていきます。

オーガストをいじめる子どもも、単なる悪い子、主人公の敵という型にははめずに、背景にも筆を届かせて、その心のうちをきちんと想像させてくれます。
徐々にオーガストとうちとけていく子どもたち、親しくなっていく仲間についても、決して単なるいいやつとして描きません。

絡み合う人間模様、個々人の複雑な思い、心の揺らぎをとらえ、描かれていることのさらに外側を想像させることで、単なる勧善懲悪もの、感動ものとは一線を画しました。

パートが変わるたびに、別の視点を与えられるので、読者は、謎解き、答え合わせの面白さも味わいながら、多面的に、物語を構築していくことができます。
パートが切り替わる前後のつなぎ方、スイッチの仕方も見事でした。

登場人物との距離の取り方、視点の切り替えの妙でしょうか。
大変センシティブで深い内容ながら、さらさらと読めて、読後感はまったく重たくありません。
現実は厳しく、つらいこともたくさんあるけれど、泣いて笑って、あくまで爽やか。
あきらめないで、希望を捨てないで、生きていける、生きていこう。そんな風に背中をすこしおしてくれる、そんな本です。

この作品と、この作品を原作とした映画は、どちらも高く評価されました。
その社会に与えたインパクトは相当のものだったと思います。

こんな風に(↓)、耳目にふれる機会が増えたのも、この作品の影響では……と考えます。
「顔ニモマケズ、僕は生きる 内面好きと言ってくれた彼女」(朝日新聞デジタル)

新鮮で切実でひりひりするような作品は、確実に、子どもたちの心に響くはず。
そして、大人にも届きます。
優れた作品は、社会の変化を少し促すことができる、そんなYAの力を感じるこの頃です。

このときはたしか、学会の企画で森絵都さんのお話を聴く機会があり、『クラスメイツ』創作にまつわるエピソードなどもうかがいました。
お話の内容もとても興味深く、面白かったのですが、森絵都さんの人となり、たたずまい、丁寧に発せられる声や言葉にふれて、作品の背骨のようなものを感じられたことが印象的でした。




映画も原作をリスペクトした丁寧な作りで、素晴らしい作品でした。
パートごとにフォーカスする人物が移っていく構成が映画にも生きています。










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金の本?銀の本?

子ども時代に読んだ懐かしい本。みなさんにもありますか?

子どもの本を仕事にしていると、たまに、本の探索を依頼されることがあります。

子ども時代にこれこれこういう本を繰り返し読んで、すごくよく覚えているんだけど、知っていますか?知りませんよね?
自分で調べてみたんだけど、なにも情報が出てこなくて……。
まぁ、タイトルも覚えてないから無理ですよね……みたいな。

こういう時こそ、図書館司書の面目躍如!
専門家としての腕の見せ所!!

子どもの頃の読書の記憶というのはとてもパーソナルです。
ある一場面やあるモティーフが、強烈に印象に残っている。
色や雰囲気が鮮烈に脳裏に焼きついている。
出てきた食べ物がおいしそうだった、お洋服が素敵だった。
体験したわけではないのに、その味やにおいや手触りまで覚えている気がする……。

ありありとその場面を思い出せるのに、子ども時代の言葉と語彙のレベルで体験されたことなので、理知的に説明できません。
そして、本の探索には必須と思われる、題名、作者名、あらすじ、主人公の名前などは、記憶されていないことがほとんどです。

子どもが全存在かけて、想像力を駆使して、本の世界に入りこんで体験したことなので、なかなか言語化しにくい……というだけでなく、さらには、本に書いてあることが、ものすごくふくらまされ、本よりも魅力的に記憶されていたりします。

きれいな挿絵がたくさんあった、カラフルだったと記憶しておられたのに、実際に本にあたってみると、白黒の小さな挿絵しかない、とか、色がついているのは表紙と口絵だけ......といった場合も少なくありません。

子どもの頃の読書って、だから特別だし、だから素晴らしいんです。

このたび、二年越しに、そういった探索本を、相談者にお渡しすることができました。
二年前に依頼されて、その時にすぐに本にはたどり着けました。

あなたの探している本はこの本ですか?

……『金のおの 銀のおの』の湖の女神の気分です。
きっと、相談者以上に、私の方がどきどきしているのではないかしら……。

このときは、幸いにして、ビンゴ!!(ふっふっふ、プロですから……(笑))
とても喜んでくださいました。

その時には、本が入手できず、図書館で借りてみてくださいとお伝えしていたのですが……。
先ごろふと思い出して、探してみたら、なんと、古本屋さんに出ているのを発見。

しかも、二年ぶりにお会いする機会があって、無事、お手渡しすることができました。ちょっとしたサプライズです。

それはそれは、司書冥利につきる、素晴らしい体験でした。
子どもの本に関わっていたよかったな、なんて幸せな仕事なんだろうと感じました。

探索した本はこちら。

『ビビ=ククのゆかいな旅』
作/メイ・ダランソン 訳/工藤みち子 絵/油野誠一 偕成社 昭和40年初版 (世界の子どもの本)
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未読だったので、私もお渡しする前に読ませてもらいました。
少々時代を感じますが、子どもの心を満たす、児童文学らしい本でした。
久々に場面を味わいながら、ゆっくりと、子どものような読書を楽しみました。

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メンタルの不調で辛かった上半期を過ぎたら、恵みの多い下半期が待っていました。
たくさんの出会いやご縁をいただきながら、数年ごしに計画していたことが実現し、今、ひとつのサイクルがきれいに閉じるような不思議な感覚があります。
来年はどうなるのかなぁ……不安と期待が入り混じった心境です。

みなさま、今年一年、お世話になりました。心よりお礼申し上げます。ありがとうございました。
また、来年もよろしくお願いいたします。
よいお年をおむかえください。




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せなけいこ展

「ねないこだれだ」、「いやだいやだ」の絵本
全作品、全ページの原画を大公開!

『ねないこだれだ』誕生50周年!
絵本原画250点、大集合!




小さい頃、こわいもの見たさで、気になって気になってたまらなかったあの絵本。
いやだ、いやだ、あーんあん、って言ったとき、言いたいとき。
仲間がいる気がしたり、おさな心に身につまされたりしたあの絵本。
なつかしいと感じる人がたくさんいるはず。
もう50歳になるんですね。
ということで、これほど大規模な原画展はおそらく初めてです。
冬休みの楽しみに。

大阪会場
会期 2019年12月18日(水)~2020年1月6日(月)
※1月1日は休

会場 阪急うめだギャラリー
阪急うめだ本店 9階

詳しくはこちら→せなけいこ展 公式サイト



クリスマス、お正月には、絵本セットやすごろくもいいかも?
みなさま、よいお年を!




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