fc2ブログ

子どもたちへ 本を届けよう

西日本から 子どもたちへ本を届けよう ネットワーク

熊の皮をきた男*朝の読書4年生 

このところ個人的にグリム童話づいていたので、グリム童話から選んでしまいました。

グリム童話の絵本といえば、フェリクス・ホフマンの『おおかみと七ひきのこやぎ』(福音館書店)が一番よく知られていると思いますが……。

そのフェリクス・ホフマンは、1911年にスイスのアーラウで生まれました。

2011年が生誕100年だったんですね。
そんなわけで、うれしいことに、2012年中も復刊、再刊、新刊が続きました。

その中から、『くまの皮をきた男』(こぐま社)。
グリム童話といえば、お姫さまものを思い浮かべる方も多いと思いますが……。

このお話の主人公は兵隊あがりの若者です。

悪魔との約束で、風呂に入れず、髪や髭を切ることもならず、爪も伸び放題。熊の皮を着て、つねに、それを寝床として七年間を過ごさねばならない、そんな若い男の話。

グリム童話は全部で、200話。なかには、こんなお話もあるんです。

グリムの昔話 くまの皮をきた男グリムの昔話 くまの皮をきた男
(2012/07)
フェリクス ホフマン、 他

商品詳細を見る


ホフマンの絵は端正で的確で、素朴な美しさがありますが、この熊男の七年間の変化が、なかなかにすごくて、近寄りがたく、なんだか、いやな臭いまでしてきそう。

このあたりで、4年生男子の心もきっとつかめると判断してのチョイスでしたが、読んでみると笑い声など一つもなく、妙に真剣に聞き入り、見入っている様子。
……わたしの読み方がまじめすぎたかしら……。

この熊男。人助けをしたお礼に、三人娘の一人を嫁ももらう……という昔話らしい展開ですが、そこで、三人娘を描き分けるホフマンの腕ときたら。

ざっくりとしたスケッチ風にも関わらず、全身のたたずまいや手の仕草を描き分けて、娘たちそれぞれの反応が一目瞭然。
絵が語るってこういうことなんですね。

絵本そのものも、赤が効いていて、すっきりと端正な美しさ。
太めの明朝のくっきりとしたタイトル文字も、赤い枠と絵のインパクトにぴったりです。

テキストは、同じくこぐま社の『子どもに語るグリムの昔話』を手がけた佐々梨代子と野村泫の訳ですから、分かりやすく、読みやすく簡潔。

グリム童話は、絵本にしたときに、どうしても文章が長すぎることが多いのですが、この絵本は、テキストの割り付け方(文章と絵の関係)、ページのめくりとの兼ね合いなど、よく考えて作られています。

それでも、テキストが少々長いことには変わりがないので、しっかり読み語る必要はありますが……。

『くまの皮をきた男』が少々長いので、絵本らしく、ぱっぱっと気持ちよくめくれる絵本も。
ということで、この絵本も紹介しました。
『しあわせハンス』。福音館からの復刊です。

昔話らしい、モノを交換していくパターンの単純な繰り返し。

日本のお話ではわらしべ長者がありますが、それとは逆パターン。
どんどんモノの価値が下がっていくにも関わらず、本人は幸せこの上ない、というお話。
重要なのは、価値ではなくて、交換する行為そのもの。と考えると、レヴィ・ストロースばりの深い人間探求につながる……かも。

しあわせハンス―グリム童話 (世界傑作絵本シリーズ―スイスの絵本)しあわせハンス―グリム童話 (世界傑作絵本シリーズ―スイスの絵本)
(1976/10/20)
グリム

商品詳細を見る


同じパターンでは、『ヨッケリ、なしをとっといで』という小さな絵本も。→ヨッケリなしをとっといで―スイスのわらべうた 好きな絵本の一つです。

ついでに、『しあわせハンス』と一緒に復刊されたこちらも。
グリム童話といえば、お姫さまか女の子と思っている方には、熊男や四人兄弟にも出会ってみてほしいと思います。


うできき四人きょうだい―グリム童話 (世界傑作絵本シリーズ―スイスの絵本)うできき四人きょうだい―グリム童話 (世界傑作絵本シリーズ―スイスの絵本)
(1983/08/31)
グリム

商品詳細を見る


福音館書店からの最新作?
『赤ずきん』は、絵本のための原稿がなく、孫娘へのプレゼントだったオリジナルから制作された絵本だそうです。ホフマンの『赤ずきん』なら、それは絶対、買い!でしょう(笑)。

赤ずきん (福音館の単行本)赤ずきん (福音館の単行本)
(2012/06/13)
フェリクス・ホフマン

商品詳細を見る


孫娘へのプレゼントですから、赤ずきんが、それはもう、生き生きとして、可愛らしいです。


関連記事→失われ、受け継がれ、廻るもの(2011年11月の記事で、ホフマン生誕100年にふれていました。)



関連記事

PageTop

お話ローソク*大人のお話会

香芝お話ローソクの会は、日頃、保育所、幼稚園、小学校、学童などにお話配達をしたり、図書館のおはなし会に協力したり、日々、子どもたちにお話を届けています。

そのローソクの会ですが、年に一、二度、ふだん、あまりじっくり語れないお話を披露したり、たくさんの方に関心をもっていただく機会として、また会員の研鑽の場として、大人のためのお話会もひらいています。

さて、その大人のお話会。無事終了いたしました。

いつも、かわいらしいプログラムを会員の方が作って下さるので、ちらっとお見せしちゃいます。



内容は……。



さすがは大人限定の会だけあって……。
それぞれに最近新たに覚えたお話や、色々な思い入れのあるお話を選んでいますので、聞きごたえたっぷり。
常連のメンバーさんだけで、これだけのプログラムが組めるとは。歴史あるローソクの会の底力ですね。

なにはともあれ、「言葉のおもてなし」といわれる語りを、一度にこんなにたくさん聞けるなんて……。

しんみりしたり、涙をさそわれたり。身につまされたり、ばかばかしかったり……、道理もあれば、不思議もたっぷり。
……そんなお話の世界を堪能いたしました。


実は……、わたしは、ちょっと準備不足だったので、完全に覚えているのに、ところどころで、つっかえたり、ちょっと言い淀んだり……残念でした。大きな声を出して語っておかなかったのがいけなかったようです。

頭の中で、あるいは小さな声でごにょごにょと、というのと、「声を出して語る」ことの間には、大きな隔たりがあるのだと実感しました。

何はともあれ、お話は面白い、楽しい!

絵本の読み聞かせも楽しいですが、わたしは、ストーリーテリングの方が自分にあっているような気もするし、やりがいも、醍醐味も全然ちがうなと感じています。

覚えるの?!って、まずはそこで、敬遠されがちなのですが、自分のものにできる喜び、そして、何も介在させないで、聴き手とダイレクトに結びつくことができる、あの一体感は、何にもかえがたい、と感じます。

次は、また来年……?かな。

どこかで見かけたら、ぜひ聞きにいらしてください。
そして、興味をもったら、ぜひ、会に参加してみてくださいね。年中、お仲間募集中ですよ(笑)。


PageTop

折り紙アートアクセサリー



NZ発!折り紙アートアクセサリー!!
ゼミの卒業生からの素敵なお知らせです。

日本ならではのアートですが、こうしてみると、とっても素敵。
海外なら、きっと注目を集めるでしょうね。

詳しくはこちら→Thousand Sunny Japanさんのwebサイトにつながります。

関連記事

PageTop

再刊二つ。砂沢クラの本、「わが魂を聖地に埋めよ」

アイヌの昔話や神話に関心をもってから、関連書を見つけたら読むようにしています。

このほど、砂沢クラさんの一代記「ク スクップ オルシペ」を初めて読みました。

いとこのお子さん(?)にあたる砂沢ビッキさん(木彫アーティスト)の表紙デザインが、くっきりと端正で、クラさんの勁さと美しさが思われます。

北海道全域を渡り歩き、漁、猟、農、手仕事など、生涯働き続けて生き抜いたアイヌの女性の一生が、ご自身の手描きイラストと、まるで語り聞かせるような文体で、生き生きと再現されています。

明治、大正から、昭和へ、激変する社会環境のなかで、過酷な文化変容をこうむりながら生きた人々、その文化変容を耐えて、文化を伝えようとする人々の意志に、心打たれます。

金成マツ、ジョン・バチェラーなど、歴史に名を残す人々もちらほら登場して、アイヌの歴史の証言としても貴重です。

悲惨な出来事も多く語られていて、それなりの覚悟をして読み始めたのですが、意外にも、読んでいてとにかく面白いんですね。
クラさんの人柄なのでしょうか、読んでいて、何か晴れ晴れとした心持ちになりました。

北海道新聞社などから発刊され、絶版になっていた本を、お孫さんとその娘さんが自費出版で再刊されたもの。

出版不況といわれて久しい今、このような本を読み継いでいくことの難しさを感じます。出版を決意されたお孫さん、ひ孫さんに感謝。

Amazonでは、今のところ取り扱いがないようで、リンクを張れませんでした。
自費出版のため、情報も少ないようです。
---------------------------------
「ク スクップ オルシペ 私の一代の話」
砂沢 クラ 著

定価 税込2,100円  サイズ たて186mm、よこ130mm
2012年11月発行予定
発行元 アイヌ民族文化伝承会 らぷらん

詳細は下記ブログをご覧ください。
イランカラプテのブログ http://ameblo.jp/ainu-bunka/entry-11304706491.html
---------------------------------


「ク スクップ オルシペ」を読んだ翌日。
たまたまなんですが、本屋さんでこちらを購入してしまいました。偶然にも、最近、文庫で再刊されたばかり。


文庫 わが魂を聖地に埋めよ 上 (草思社文庫)文庫 わが魂を聖地に埋めよ 上 (草思社文庫)
(2013/02/02)
ディー・ブラウン

商品詳細を見る


文庫 わが魂を聖地に埋めよ 下 (草思社文庫)文庫 わが魂を聖地に埋めよ 下 (草思社文庫)
(2013/02/02)
ディー・ブラウン

商品詳細を見る


アメリカ先住民のモドック族の昔話を再話したときに、モドック族について色々調べました。

この本では、下巻の冒頭に、詳しく出てきます。
カリフォルニア・ネイティブは、中西部のネイティブなどと比べると人数も少なく組織的力も弱かったことから、また、ゴールド・ラッシュによる白人の流入が急激だったことから、短期間のうちに、跡形もなく消滅させられた部族も多かったようです。
そのなかで、唯一、白人とネイティブの闘争の歴史に名を残したのがモドック族、モドック戦争(Modoc War)でした。

繰り返される茶番劇。途方もない殺戮の連鎖……。
こちらは、読めば読むほど気がふさがり、重苦しい気分になりますが、先を読まずにはいられません。

あとがきによると、この本がよく読まれ出したのはベトナム戦争のときだったそうです。
過去を重ね合わせることで、今まさに起こらんとすることの意味がはっきりと立ち現れたのでしょうか。

そして、この本とアイヌの歴史を重ね合わせると、同時代史として、くっきり見えてくるものがあるようです。

こちらの本もできれば途切れずに版を重ねてほしい本です。


関連記事
アイヌに関する絵本やお話はこちら→風の神とオキクルミクナウとひばり、アイヌネノアンアイヌなど

カリフォルニア・ネイティブについての記録『イシ』はこちら→二つの世界を生きる

ネイティブ・アメリカンと白人の交渉を扱った児童文学はこちら→魔女の血をひく娘

モドック族の昔話はこちら→「北風タニース・スレウィスと南風モワス・スレウィス」― 北米インディアン・モドック族





関連記事

PageTop

3月の読書会のご案内

樟蔭の関屋キャンパスで、月に一回ひらいている絵本・子どもの本読書会

2月はマドレーヌの絵本で盛り上がりました。
(感想、まとめはこちら→マドレーヌの絵本 読書会のあとで……

3月は長新太さんです。

3月2日(土) 午後7時から


各自、思い思いに、長新太の絵本などを読んで持ち寄ってください。作品数が多く、多彩な方なので、みんなで持ち寄れば、少しは全貌に迫れるかも……?

担当して下さる方は、近々、作品展を見に行かれるとか……。興奮や感動冷めやらぬ、ホットなお話を聞く機会になりそうです。楽しみ。


たくさん作品がありすぎて……。

息子が1歳前後の頃、もっともよく読んだのは↓です。

ごろごろにゃーん (こどものとも傑作集)ごろごろにゃーん (こどものとも傑作集)
(1984/02/15)
長 新太

商品詳細を見る


1歳前後の息子がどんなふうだったかというと……。

「ごろごろにゃーん ごろごろにゃーん と ひこうきは とんでいきます」とこちらが読むのを、大縄跳びで縄に飛び込むタイミングをはかるように、神経をとぎすまして聞いていて……。

毎回、文末の「ます」のわたしの声にかぶせるように、「まちゅっ!」と元気よく叫んでいました。

どのページも同じ文章なので、文章のリズムやパターンを心地よく、心と体に染み込ませながら、「~ます」という文型を獲得していく過程を通っていたのだと思います。かわいかったなぁ、あの頃。(いや、今もかわいいです…(笑))



PageTop
子どもたちへ 本を届けよう 子どもたちへ 本を届けよう 2013年02月

子どもたちへ 本を届けよう

西日本から 子どもたちへ本を届けよう ネットワーク

熊の皮をきた男*朝の読書4年生 

このところ個人的にグリム童話づいていたので、グリム童話から選んでしまいました。

グリム童話の絵本といえば、フェリクス・ホフマンの『おおかみと七ひきのこやぎ』(福音館書店)が一番よく知られていると思いますが……。

そのフェリクス・ホフマンは、1911年にスイスのアーラウで生まれました。

2011年が生誕100年だったんですね。
そんなわけで、うれしいことに、2012年中も復刊、再刊、新刊が続きました。

その中から、『くまの皮をきた男』(こぐま社)。
グリム童話といえば、お姫さまものを思い浮かべる方も多いと思いますが……。

このお話の主人公は兵隊あがりの若者です。

悪魔との約束で、風呂に入れず、髪や髭を切ることもならず、爪も伸び放題。熊の皮を着て、つねに、それを寝床として七年間を過ごさねばならない、そんな若い男の話。

グリム童話は全部で、200話。なかには、こんなお話もあるんです。

グリムの昔話 くまの皮をきた男グリムの昔話 くまの皮をきた男
(2012/07)
フェリクス ホフマン、 他

商品詳細を見る


ホフマンの絵は端正で的確で、素朴な美しさがありますが、この熊男の七年間の変化が、なかなかにすごくて、近寄りがたく、なんだか、いやな臭いまでしてきそう。

このあたりで、4年生男子の心もきっとつかめると判断してのチョイスでしたが、読んでみると笑い声など一つもなく、妙に真剣に聞き入り、見入っている様子。
……わたしの読み方がまじめすぎたかしら……。

この熊男。人助けをしたお礼に、三人娘の一人を嫁ももらう……という昔話らしい展開ですが、そこで、三人娘を描き分けるホフマンの腕ときたら。

ざっくりとしたスケッチ風にも関わらず、全身のたたずまいや手の仕草を描き分けて、娘たちそれぞれの反応が一目瞭然。
絵が語るってこういうことなんですね。

絵本そのものも、赤が効いていて、すっきりと端正な美しさ。
太めの明朝のくっきりとしたタイトル文字も、赤い枠と絵のインパクトにぴったりです。

テキストは、同じくこぐま社の『子どもに語るグリムの昔話』を手がけた佐々梨代子と野村泫の訳ですから、分かりやすく、読みやすく簡潔。

グリム童話は、絵本にしたときに、どうしても文章が長すぎることが多いのですが、この絵本は、テキストの割り付け方(文章と絵の関係)、ページのめくりとの兼ね合いなど、よく考えて作られています。

それでも、テキストが少々長いことには変わりがないので、しっかり読み語る必要はありますが……。

『くまの皮をきた男』が少々長いので、絵本らしく、ぱっぱっと気持ちよくめくれる絵本も。
ということで、この絵本も紹介しました。
『しあわせハンス』。福音館からの復刊です。

昔話らしい、モノを交換していくパターンの単純な繰り返し。

日本のお話ではわらしべ長者がありますが、それとは逆パターン。
どんどんモノの価値が下がっていくにも関わらず、本人は幸せこの上ない、というお話。
重要なのは、価値ではなくて、交換する行為そのもの。と考えると、レヴィ・ストロースばりの深い人間探求につながる……かも。

しあわせハンス―グリム童話 (世界傑作絵本シリーズ―スイスの絵本)しあわせハンス―グリム童話 (世界傑作絵本シリーズ―スイスの絵本)
(1976/10/20)
グリム

商品詳細を見る


同じパターンでは、『ヨッケリ、なしをとっといで』という小さな絵本も。→ヨッケリなしをとっといで―スイスのわらべうた 好きな絵本の一つです。

ついでに、『しあわせハンス』と一緒に復刊されたこちらも。
グリム童話といえば、お姫さまか女の子と思っている方には、熊男や四人兄弟にも出会ってみてほしいと思います。


うできき四人きょうだい―グリム童話 (世界傑作絵本シリーズ―スイスの絵本)うできき四人きょうだい―グリム童話 (世界傑作絵本シリーズ―スイスの絵本)
(1983/08/31)
グリム

商品詳細を見る


福音館書店からの最新作?
『赤ずきん』は、絵本のための原稿がなく、孫娘へのプレゼントだったオリジナルから制作された絵本だそうです。ホフマンの『赤ずきん』なら、それは絶対、買い!でしょう(笑)。

赤ずきん (福音館の単行本)赤ずきん (福音館の単行本)
(2012/06/13)
フェリクス・ホフマン

商品詳細を見る


孫娘へのプレゼントですから、赤ずきんが、それはもう、生き生きとして、可愛らしいです。


関連記事→失われ、受け継がれ、廻るもの(2011年11月の記事で、ホフマン生誕100年にふれていました。)



関連記事

PageTop

お話ローソク*大人のお話会

香芝お話ローソクの会は、日頃、保育所、幼稚園、小学校、学童などにお話配達をしたり、図書館のおはなし会に協力したり、日々、子どもたちにお話を届けています。

そのローソクの会ですが、年に一、二度、ふだん、あまりじっくり語れないお話を披露したり、たくさんの方に関心をもっていただく機会として、また会員の研鑽の場として、大人のためのお話会もひらいています。

さて、その大人のお話会。無事終了いたしました。

いつも、かわいらしいプログラムを会員の方が作って下さるので、ちらっとお見せしちゃいます。



内容は……。



さすがは大人限定の会だけあって……。
それぞれに最近新たに覚えたお話や、色々な思い入れのあるお話を選んでいますので、聞きごたえたっぷり。
常連のメンバーさんだけで、これだけのプログラムが組めるとは。歴史あるローソクの会の底力ですね。

なにはともあれ、「言葉のおもてなし」といわれる語りを、一度にこんなにたくさん聞けるなんて……。

しんみりしたり、涙をさそわれたり。身につまされたり、ばかばかしかったり……、道理もあれば、不思議もたっぷり。
……そんなお話の世界を堪能いたしました。


実は……、わたしは、ちょっと準備不足だったので、完全に覚えているのに、ところどころで、つっかえたり、ちょっと言い淀んだり……残念でした。大きな声を出して語っておかなかったのがいけなかったようです。

頭の中で、あるいは小さな声でごにょごにょと、というのと、「声を出して語る」ことの間には、大きな隔たりがあるのだと実感しました。

何はともあれ、お話は面白い、楽しい!

絵本の読み聞かせも楽しいですが、わたしは、ストーリーテリングの方が自分にあっているような気もするし、やりがいも、醍醐味も全然ちがうなと感じています。

覚えるの?!って、まずはそこで、敬遠されがちなのですが、自分のものにできる喜び、そして、何も介在させないで、聴き手とダイレクトに結びつくことができる、あの一体感は、何にもかえがたい、と感じます。

次は、また来年……?かな。

どこかで見かけたら、ぜひ聞きにいらしてください。
そして、興味をもったら、ぜひ、会に参加してみてくださいね。年中、お仲間募集中ですよ(笑)。


PageTop

折り紙アートアクセサリー



NZ発!折り紙アートアクセサリー!!
ゼミの卒業生からの素敵なお知らせです。

日本ならではのアートですが、こうしてみると、とっても素敵。
海外なら、きっと注目を集めるでしょうね。

詳しくはこちら→Thousand Sunny Japanさんのwebサイトにつながります。

関連記事

PageTop

再刊二つ。砂沢クラの本、「わが魂を聖地に埋めよ」

アイヌの昔話や神話に関心をもってから、関連書を見つけたら読むようにしています。

このほど、砂沢クラさんの一代記「ク スクップ オルシペ」を初めて読みました。

いとこのお子さん(?)にあたる砂沢ビッキさん(木彫アーティスト)の表紙デザインが、くっきりと端正で、クラさんの勁さと美しさが思われます。

北海道全域を渡り歩き、漁、猟、農、手仕事など、生涯働き続けて生き抜いたアイヌの女性の一生が、ご自身の手描きイラストと、まるで語り聞かせるような文体で、生き生きと再現されています。

明治、大正から、昭和へ、激変する社会環境のなかで、過酷な文化変容をこうむりながら生きた人々、その文化変容を耐えて、文化を伝えようとする人々の意志に、心打たれます。

金成マツ、ジョン・バチェラーなど、歴史に名を残す人々もちらほら登場して、アイヌの歴史の証言としても貴重です。

悲惨な出来事も多く語られていて、それなりの覚悟をして読み始めたのですが、意外にも、読んでいてとにかく面白いんですね。
クラさんの人柄なのでしょうか、読んでいて、何か晴れ晴れとした心持ちになりました。

北海道新聞社などから発刊され、絶版になっていた本を、お孫さんとその娘さんが自費出版で再刊されたもの。

出版不況といわれて久しい今、このような本を読み継いでいくことの難しさを感じます。出版を決意されたお孫さん、ひ孫さんに感謝。

Amazonでは、今のところ取り扱いがないようで、リンクを張れませんでした。
自費出版のため、情報も少ないようです。
---------------------------------
「ク スクップ オルシペ 私の一代の話」
砂沢 クラ 著

定価 税込2,100円  サイズ たて186mm、よこ130mm
2012年11月発行予定
発行元 アイヌ民族文化伝承会 らぷらん

詳細は下記ブログをご覧ください。
イランカラプテのブログ http://ameblo.jp/ainu-bunka/entry-11304706491.html
---------------------------------


「ク スクップ オルシペ」を読んだ翌日。
たまたまなんですが、本屋さんでこちらを購入してしまいました。偶然にも、最近、文庫で再刊されたばかり。


文庫 わが魂を聖地に埋めよ 上 (草思社文庫)文庫 わが魂を聖地に埋めよ 上 (草思社文庫)
(2013/02/02)
ディー・ブラウン

商品詳細を見る


文庫 わが魂を聖地に埋めよ 下 (草思社文庫)文庫 わが魂を聖地に埋めよ 下 (草思社文庫)
(2013/02/02)
ディー・ブラウン

商品詳細を見る


アメリカ先住民のモドック族の昔話を再話したときに、モドック族について色々調べました。

この本では、下巻の冒頭に、詳しく出てきます。
カリフォルニア・ネイティブは、中西部のネイティブなどと比べると人数も少なく組織的力も弱かったことから、また、ゴールド・ラッシュによる白人の流入が急激だったことから、短期間のうちに、跡形もなく消滅させられた部族も多かったようです。
そのなかで、唯一、白人とネイティブの闘争の歴史に名を残したのがモドック族、モドック戦争(Modoc War)でした。

繰り返される茶番劇。途方もない殺戮の連鎖……。
こちらは、読めば読むほど気がふさがり、重苦しい気分になりますが、先を読まずにはいられません。

あとがきによると、この本がよく読まれ出したのはベトナム戦争のときだったそうです。
過去を重ね合わせることで、今まさに起こらんとすることの意味がはっきりと立ち現れたのでしょうか。

そして、この本とアイヌの歴史を重ね合わせると、同時代史として、くっきり見えてくるものがあるようです。

こちらの本もできれば途切れずに版を重ねてほしい本です。


関連記事
アイヌに関する絵本やお話はこちら→風の神とオキクルミクナウとひばり、アイヌネノアンアイヌなど

カリフォルニア・ネイティブについての記録『イシ』はこちら→二つの世界を生きる

ネイティブ・アメリカンと白人の交渉を扱った児童文学はこちら→魔女の血をひく娘

モドック族の昔話はこちら→「北風タニース・スレウィスと南風モワス・スレウィス」― 北米インディアン・モドック族





関連記事

PageTop

3月の読書会のご案内

樟蔭の関屋キャンパスで、月に一回ひらいている絵本・子どもの本読書会

2月はマドレーヌの絵本で盛り上がりました。
(感想、まとめはこちら→マドレーヌの絵本 読書会のあとで……

3月は長新太さんです。

3月2日(土) 午後7時から


各自、思い思いに、長新太の絵本などを読んで持ち寄ってください。作品数が多く、多彩な方なので、みんなで持ち寄れば、少しは全貌に迫れるかも……?

担当して下さる方は、近々、作品展を見に行かれるとか……。興奮や感動冷めやらぬ、ホットなお話を聞く機会になりそうです。楽しみ。


たくさん作品がありすぎて……。

息子が1歳前後の頃、もっともよく読んだのは↓です。

ごろごろにゃーん (こどものとも傑作集)ごろごろにゃーん (こどものとも傑作集)
(1984/02/15)
長 新太

商品詳細を見る


1歳前後の息子がどんなふうだったかというと……。

「ごろごろにゃーん ごろごろにゃーん と ひこうきは とんでいきます」とこちらが読むのを、大縄跳びで縄に飛び込むタイミングをはかるように、神経をとぎすまして聞いていて……。

毎回、文末の「ます」のわたしの声にかぶせるように、「まちゅっ!」と元気よく叫んでいました。

どのページも同じ文章なので、文章のリズムやパターンを心地よく、心と体に染み込ませながら、「~ます」という文型を獲得していく過程を通っていたのだと思います。かわいかったなぁ、あの頃。(いや、今もかわいいです…(笑))



PageTop