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「空とぶベッド」と「動物農場」!?

9月の読書会はメアリー・ノートン『空とぶベッドと魔法のほうき』でした。
大変に好評で、第一声、「面白かった~」という感じでした。

一人一人のキャラクター設定、会話のやりとりやちょっとした動きで、その人の暮らしぶりまで見えてくるような描写の妙。
楽しくてスリルもたっぷりの冒険。
信頼関係をベースとした人と人とのおつきあい。
時代と人との関係。
大人の恋愛とその結末のつけ方。
時間的隔たりのあらわし方、伝え方
歴史的事実の取り込み方。
細部に至るまで、納得できる、優れた児童文学です。これぞイギリス、まさにイギリスな作品です。

ところで、高校生になった息子に読ませるついでに、この春、久々に、ジョージ・オーウェルの『動物農場』と『1984』を再読していました。
これまで並べて考えてみようなどと思ったことは一度もなかったのですが、ふと気づきました。
メアリー・ノートンと、ジョージ・オーウェルは、同年生まれ。完全に同時代人なのですね。

あ~、なるほど~と、思わず、声が出そうになるくらい。
何かすごく得心がいく気がして、これまで気になっていたことを解きほぐすヒントが見えてきました。

メアリー・ノートンの作品は、一見してわくわくするような楽しい作品も、一皮むいてみると、全編にただようディストピア感・・・・・。
それが時々、ぐっと前面に出て来て、ぞくっとすることがあります。そこがいいんですけどね。
私は、ノートンの作品はとても深くてこわい作品だと常々思っていました。
オーウェルの作品と対置させてみると、作品の背景が一気に広がって見えて来ます。

『床下の小人たち』で、最初にアリエッティを見る男の子は、インド帰りで、英語がおぼつかない子どもでした。
これなんぞ、まさにジョージ・オーウェルの少年時代を彷彿とさせますね。

かたや子どもを楽しませるファンタジー、かたや寓話と近未来SF。
こまかく読み解いていくと、表面的には対照的な作品のなかに、二人が生きた時代の空気がひとしく流れていることが分かります。

優れた作品は、いくら古びても、常に新しい。
ジョージ・オーウェルの作品も、今読んでも充実した読書体験が得られること間違いなし。
そして、まったく異なる時代、場所、体制を描いているようでいて、今の時代、今の政治を見事に照射して見せる力を持っています。

メアリー・ノートンの作品なんて何度読んだかわかりませんが……。
何年たっても、何度読んでも、発見があって、深くて深くて、どこまでいっても、「分からない」ことばかり。
児童文学が映し出すものの小ささ、大きさ、広大さ、深さには、ほんとうに驚かされます。

そろそろ読書の秋。雨もよいの日も多そうです。
みなさん、ぜひ、楽しい読書を。








↑今、切れているみたいですね。
岩波書店にはよくあることで、絶版ではなく、またそのうち再販かかるはず。出してくださいね!


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